監督:ブライアン・シンガー
アメリカ/2006年/154分
![]() | スーパーマン リターンズ ブランドン・ラウス ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-12-22 by G-Tools |
●「赤マントの全身タイツ男 病院に担ぎ込まれる」の巻。父と子。ルーツ探し。新秩序の台頭の恐怖。アメリカ合衆国がよくわかる作品。父なる神が子なるイエスを地上に遣わされた。ゲッセマネの園での祈り。荒野でサタン(悪魔)の誘惑。
ストーリー(概要)
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故郷のクリプトン星を探して宇宙へ旅立ったスーパーマンが5年ぶりに地球に戻ってくると、かつての恋人ロイスは婚約しており、子供もいた。
そんななか、宿敵レックス・ルーサーが動きはじめる。
世界を救うためスーパーマンが立ち上がる。
主な登場人物の紹介
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△スーパーマン
クリプトン星の生き残り。
△ロイス
女性。新聞記者。スーパーマンの元恋人。
△レックス・ルーサー
男性。新秩序確立を目指す。
コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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●「赤マントの全身タイツ男 病院に担ぎ込まれる」の巻。父と子。ルーツ探し。新秩序の台頭の恐怖。アメリカ合衆国がよくわかる作品。父なる神が子なるイエスを地上に遣わされた。ゲッセマネの園での祈り。荒野でサタン(悪魔)の誘惑。
■ 父と子
スーパーマンはクリプトン星の唯一の生き残りです。クリプトン星の消滅のときに赤ん坊だったスーパーマンは父によって地球へ送られます。
父にとってはかけがえないのない唯一の息子を地球に遣わしたのです。
この設定はほぼそのまま聖書と同じですね。
父なる神が、子なるイエスを地上に遣わされたというものです。
人間を救うために地上に遣わされたイエスも苦悩して父なる神に祈ります(ゲッセマネの園での祈り)。
またイエスは荒野で40日40家断食してサタン(悪魔)による誘惑にあいます(マタイによる福音書第4章1節〜11節)。
聖書によると、神の子であるイエスは数々の奇跡を行いましたが、様々な試練にあわれて苦悩もしたのです。
スーパーマンは透視能力や怪力や空を飛ぶ能力などを持ったいわば超人ですが、自分のルーツを探したり、地球でどう生きるか、何をすべきかを考え・悩みます。
これは人間だれしもあることですが、特に様々な民族やコミュニティから成るアメリカ国民は、自分のルーツ探しというものにたいへん高い興味と関心を持っているといいます。
故郷のクリプトン星を探しに宇宙へ旅に出たことからわかることは、地球にあって異星人であるスーパーマンではるけれども、その気質や行動においてはアメリカ国民に近いものがあるこということです。
アメリカ国民的要素を併せ持ったスーパーマンは一度に無数の声・音を同時に聞き分ける能力もあります。自分の生き方に悩みつつも、助けを求める声を放っておくことはできないと助けに世界を飛び回ります。こうした行動はアメリカ合衆国の国際社会での振る舞いを表現しているといっていいでしょう。
■ 人は何によっていきるか
荒野で断食中に、空腹ならば石をパンに変えればいいと誘惑者に言われたイエスは「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言(ことば)で生きるものである」(新約聖書マタイによる福音書第4章4節)と言いました。
さて、超能力を持ったスーパーマンの地球での生活はバラ色かというと、そうでもありません。
5年ぶりに地球に戻ってみると、変わらないと思っていたものまで変ってしまっていました。結婚して主婦するなんて考えられないと言っていた元恋人ロイスが、社内の同僚と婚約して男の子まで誕生していたのです。
常人にはできないことができるスーパーマンでも、愛する人との関係はなかなか思い通りにはできないのです。スーパーマンは地球でどう生きるべきかを悩みます。
どんなに高い能力を持っていたとしても、スーパーマンは何によって生きるのか。そして私は、あなたは何よって生きるのか。
これが「スーパーマンリターンズ」のテーマであり、観客への問いかけです。
■ ヒーローを必要としていない?
なぜいまスーパーマンなのでしょうか?
スーパーマンをアメリカ合衆国と例えてみると、世界はもうスーパーマンを必要としていないのでしょうか?
こんな疑問をアメリカ国民の多くが持っているからこそ、今も世界はスーパーマンのようなヒーロー=強いアメリカ合衆国を必要としているのだという物語で皆を鼓舞したいし、そういう話をアメリカ国民も求めている。だからこそ、いまスーパーマンなのですね。
■ 自虐コントネタを真面目に
悪役レックス・ルーサーが海上に新たな大陸を出現させて、これまであった大陸を沈めてしまおうというのは、早い話が新しい勢力地図を作るということです。これを阻止するのがスーパーマンですね。
新秩序の出現。
従来の秩序を守る側にとっては、事の善悪は関係なく、問題・驚異なのは新秩序の台頭です。
悪役がアメリカ合衆国の海岸線の一部を沈めることで、それまでタダ同然だった土地に新たな付加価値をつけて金儲けしようとしたぐらいの規模なら、スーパーマンの程よい活躍の場ができるといったものです。
しかし今回、レックス・ルーサーが作り出そうとしていい新しい土地は「島」とった規模ではなく「大陸」の規模です。
大陸ともなれば、それは新秩序の誕生を意味します。しかもそれを作り出す元のクリスタルは、そもそもスーパーマンが地球にもたらしたものです。
レックス・ルーサーは、土地を作り出すクリスタルの存在を知らなければ、そもそもクリスタルが存在しなければ、大陸を出現させるという壮大(?)な計画を実行しようとまではしないでしょう。悪役といえども、頭脳明晰という設定ですからね。
レックス・ルーサーが世界を少し乱す程度の小悪党であるうちは、たまにスーパーマンに懲らしめられるぐらいでちょうど良かったのです。
なぜなら、世界が危機に陥らなければ、だれも助けを求めないので、スーパーマンの活躍の場もないのですから。
5年ぶりに帰ってきたスーパーマンが、墜落していく飛行機を救って野球場に不時着させることに成功したとき、球場の観客は大きな拍手で彼の帰還を称えます。
たしかに飛行機の惨事を引き起こした原因を作り出したのはレックスルーサーなのですが……。でもね、惨事の大元へとさかのぼって考えてみると、彼がスーパーマンのクリスタルを手に入れなければこの惨事は起きなかったのです。
スーパーマンがもたらした「力の元=クリスタル」を小悪党が手に入れたことで、もっと大きな悪事を引き起こし、それをスーパーマンが退治する。すると、やはり世界はスーパーマンを必要としているのだ、と声高らかにいう。
世界最大の武器輸出大国が世界に火種を撒き散らし、それを正義の名のもとに火消しに世界を飛び回る。そんな、どこかのお国そのままといったようにもみえますね。
こんな自虐コントみたいなネタを、けっこう真面目に表立ってやっているのが「スーパーマンリターンズ」なのです。
では、表があれば裏があるということで、裏でいうとどんな作品が?
実は有名なアニメショーン作品がこういった意味で「スーパーマン」と表裏一体なんですね。
で、それはどんなアニメ作品か?
本誌のスルどい読者ならピンときたかもしれません。
これについては長くなりそうなのでまたの機会に。
■ スーパーマンを知っている人向き
スーパーマン?
それってペンギン村の梅干大好きなコスプレおじさんのことでしょ。
スーパーマン?
それって「Mr.インクレディブル」でおっきなマントを羽織って空を飛んでいたスーパーヒーローが飛行機のエンジンにマントが絡まって亡くなったっていう話の、その元になったヒーローのことでしょ。
こんな認識を持っている方は、いきなり「スーパーマンリターンズ」を観にいってもイマイチ盛り上がらないでしょう。
「スーパーマン」シリーズを全く観ていないならば「赤マントの全身タイツ男が病院に担ぎ込まれた154分にわたる物話」ときいたならば、それってどうなの? と思ってしまうかもしれませんね。
とはいえ、ペンギン村のスッパマンを知っているアナタは、もちろんスーパーマンもよぉ〜く知っているでしょうけれど(笑)
■ ひとこと
「赤マントの全身タイツ男 病院に担ぎ込まれる」
「入院中のスーパーマンはナースコールを押すのか」
「ナースが脱がす!?スーパーマンの全身タイツ」
こんなキャッチフレーズなら、もっとお客さんを呼べそうですネ。
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