2008年07月10日

宇宙戦争(WAR OF THE WORLDS)

「宇宙戦争(WAR OF THE WORLDS) 」

ティーヴン・スピルバーグ 監督/アメリカ/2005年/114分

原作:H・G・ウェルズ「宇宙戦争 (2005) WAR OF THE WORLDS」

B000FBHTO4宇宙戦争
H.G.ウェルズ
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2006-07-07

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●サウロの回心(目から鱗が落ちる)とルターの修道士の誓いを象徴するかのような「回心」を促がす「雷」ではじまる、家族を守る男のヒーロー物語。真に恐ろしいのはトライポッドでも宇宙人でもなく、人間の心理と行動。


物語の紹介
―――――――――――――――――――――
アメリカ合衆国のある町。

磁気嵐が起きて幾度も同じ場所に落雷したその地下から巨大なトライポッドが出現。町と人を焼き尽くしていく。

港湾労働者のレイは息子と娘を連れて危機を逃れようとする。


主な登場人物の紹介
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△レイ
 港湾労働者

△レイチェル
 レイの娘(10歳ぐらい)

△ロビー
 レイの息子(17歳ぐらい)


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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●サウロの回心(目から鱗が落ちる)とルターの修道士の誓いを象徴するかのような「回心」を促がす「雷」ではじまる、家族を守る男のヒーロー物語。真に恐ろしいのはトライポッドでも宇宙人でもなく、人間の心理と行動。

■ トルネード(竜巻)? 

全米各地で電磁嵐が発生しているというニュースがテレビで流れるなか、主人公レイは仕事から戻り、子供たちを迎えます。

しばらくすると、空が渦巻き状の雲に覆われ、雷が落ちまます。それもほぼ同じ場所に幾度も落ちるのです。

アメリカ合衆国の土地と気象にとける特徴のひとつは、トルネード tornado(竜巻)です。ツイスター(twister)ともいいます。(大リーガー野茂投手のトルネード投法っていうのもありますね)

アメリカ合衆国のニュースではよく、○○でトルネードが発生して○○州を襲い、○人が死亡。建物を破壊して云々といったものがよく流れます。

映画では「ツイスター」(ヤン・デ・ボン監督/1997/アメリカ)という竜巻パニック・スペクタクル作品があります。

というわけで、アメリカ合衆国在住の方々にとって、トルネードという単語はニュースでよく聞いて身近なものとなっています。

レイの住む地域がよくトルネードが発生するところなのかはよくわかりませんが、レイは「ちょっとしたおもしろいものがあるぞ」と言った意味のことを言って子供と共に空を見上げます。

空には分厚い雲が渦巻いています。強い風が吹き、雷が幾度も落ちて、レイは、これは只事ではないと感じます。


■ 雷 サウロの回心 ルターの修道士の誓い

雷と共に空から「だれか」が落ちてきて、あらかじめ地中に埋っていた「あるもの」を操縦します。

その巨大な物体――トライポッドの出現によって、人類は地上の支配者としての自負とおごりが打ち砕かれます。

ここで「パウロの回心」という話をご紹介しましょう。

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「パウロの回心」(新約聖書使徒行伝第9章)

パリサイ人でローマ市民権を持ち、高水準の教育を受けたサウロ(パウロ)はある日、イエスの弟子たちを捕らえるために、ダマスコへ出発しました。

(聖書におけるパリサイ人は、律法学者、宗教の理論的な指導者として高い地位にあるとされていた人々です)

その道の途中で、突然、天から光がさしてサウロをめぐり照らしました。地に倒れたサウロは天からの声をききました。起き上がって目を開いてみましたが、何も見えませんでした。

サウロは天の声のとおりにダマスコの町へ行き、そこで3日間、目が見えず、飲まことも食べることもしませんでした。

やがてサウロのもとにイエスの弟子アナニヤがやってきました。アナニヤは自分たちを迫害してきたリーダーであるサウロの肩に手をのせて、「兄弟サウロよ」と語りかけはじめました。するとサウロの目から魚のうろこのようなものが落ち、もう一度みえるようになりました。

サウロは洗礼を受け、主に異邦人にイエスのことを伝える伝道者になりました。
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天から光がさして、というのは雷だとも受けとれます。旧約聖書では神の言葉は雷のようであり、民衆は神の声を直接聞くことを恐れていたともいいます。

旧約聖書出エジプト記第19章16節には「かみなりと、いなずまと厚い雲とが、山の上にあり、ラッパの音が、はなはだ高く響いたので、宿営におる民はみな震えた」とあります。

また同章19節には「ラッパの音が、いよいよ高くなったとき、モーセは語り、神は、かみなりをもって、彼に答えられた」とあります。民は恐れおののき、神の声をきく役目をモーセに頼みました。

またドイツの宗教改革者マルティン・ルターも目前に落ちた雷を恐れて修道士になる誓いをたてたといいます。

これがサウロの回心をなぞった作り話なのか、伝説なのかはわかりませんが、キリスト教文化圏の人々
にとって「雷」といえば、なにかを悔い改めさせたり、回心させるものであるという認識がすくなからずあるのです。

「宇宙戦争」においても、地球の支配者としておごり、たかぶっていた人類の目をさまさせるという役割としての雷によって物語がはじまります。


■ 車に群がる群衆 

嵐によって電子機器が動かなくなった状況では車も動きません。しかしレイはいち早く車を修理させました。そのおかげで、唯一といってもいい「動く車」で移動しています。

日が暮れてレイの乗った車はいつのまにか群衆の真ん中に入り込んでました。すると、車を止めろ! 俺も乗せろ! もっと乗るはずだ! という群衆によって、車は次第に身動きがとれなくなっていきます。

やがて暴徒のようになった群衆は車の窓を割ってレイやロビーを引きずり出します。

これが「ゾンビ」シリーズにおける車やトラックでの脱出シーンを思い起こさせます。

ゾンビを登場させなくても、ゾンビ襲撃と同じような「画」を見せることができています。

この車襲撃にトライポッドや宇宙人は登場しませんが、ある意味「宇宙戦争」で最も緊張感のあるシーンになっています。

というのは、もちろんトライポッド襲撃のシーンは迫力がありますが、それは映像として作られた「画」であり、ビーム光線はどこかコミカルでさえありますが、これに対して車襲撃のシーンは、環境や状況によって変化する人間の心理状態と行動を端的に表した生身の「画」となっているからです。


■ 大阪人は勇敢? 

大阪ではトライポッドを倒したらしい。日本人にできておれらにできないはずはねぇ。みたいなセリフがあります。

親日家としても知られているトム・クルーズ。興行的にも日本は大事なお客様マーケット。。サービス精神半分、冗談まじりにおちゃらけ半分といったところでしょう。

名古屋もでなく、九州でもなく、ましてや東京でもなく大阪というのがいいツボおさえてますネ。


■ その他

ストーリーらしきものはほとんどありません。宇宙からの危機を逃れようとするある家族の物語であり、スタートからゴールまでに様々な困難と危険が襲いかかるというものです。

ラストで家族が再び揃うところも出来すぎています。

「宇宙戦争」は家族を守るヒーロー像のひとつをみせてくれる作品です。

宇宙戦争
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posted by タカ at 22:02 | Comment(0) | TrackBack(2) | 宇宙戦争(WAR OF THE WORLDS) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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